へき地医療は“医療の最前線”のフィールドだ [専攻医✕指導医クロストーク]
自分がやらなきゃ、が成長のチャンス
吉富:専攻医として二ヶ月ですが、急患をお願いすることもありましたね。正直3年目の医者にとっては本当に大変だったと思いますが、どんなときも明るく「やります」とうけてくれるんですよ。柏先生の明るさに、みんながとても元気をもらっています(笑)。
柏:はい、大変でした(笑)。でもあれはしょうがないですよね。無茶振りはアルアルですし、だんだん慣れていきますので大丈夫です(笑)。
吉富:3年目でも「自分がやらなきゃいけない環境」になったときに力が発揮できる、これが逆に医師として成長できるところだとも思うんです。いつまでも守られているだけでは成長できない。
忙しい日々の現場ではなかなか系統立てた教育は難しいけれども、その部分は県総(山口県立総合医療センターへき地医療支援部)のメンターと連携で、バックアップができているし大丈夫だと思いますよ。
柏:この二ヶ月といえば、短い期間で続けてお別れを経験したことが…自分が原因でないとはいえショックはありました。でも、吉富先生をはじめ、看護師さんやその他のスタッフみなさんが「大丈夫?」「聞いたよ」「つらかったね…」と会うたびに慰めてくださって。自分は立ち直りがはやいので「もういいです大丈夫です」ってくらい、みなさんが何度も(笑)
吉富:それは柏先生がたくさんのスタッフとうまく付き合って仕事ができている、ということですよ。医療は医者だけでは診られないことも多く、色々なスタッフに細かなことやサポートをお願いして患者さんのケアができているから。
関わっているスタッフが、柏先生のことを理解して行動しているから、声をかけてくれるのだと思いますよ。
医師として人間として、大切なことを導いてくれる
柏:このような機会ですからお伺いしたいのですが、吉富先生は現場で決してイライラしないですよね。「人間としてできている」先生だなと(笑)。
どうやったらイライラしないようになりますか?
吉富:家庭では私もイライラしますよ(笑)ただ、仕事中は「客観的に」「俯瞰的に」自分を見る癖をつけているので、イライラしないようにしています。これは総合診療プログラムの講義でもありましが、「自分がイライラしているな」という事に自分で気づき、外在化してコントロールしていくことが大切です。
これは長州総合診療プログラムの中でも考える機会の多いテーマです。私自身がメタ認知をしっかり意識できるようになったのは…院長になったぐらいでしょうか。一般的には、日常の診療現場を積み重ねて自分が成長することで身につく技術だと思います。でも、長州総合診療プログラムの中の講義や勉強会の中でこの課題がでてきますので、今現実には難しくても、知識は頭に残りますよね。日常の中でそれを思い出したり振り返ったりすることで、早くに気づきと修得を得られ、成長できると思います。
柏:もう一つ質問です。どうしてそんなにお若いんですか?(笑)。医師がメンタルも含め健康をキープできるワークライフバランスの取り方をお伺いしたいです。
吉富:え、童顔だからかな(笑)…
ワークライフバランスで言うと、私は病院に泊まることもあるし上手なほうではないかもしれません。子供が小さい育児期は必ず帰っていましたが。今は家族それぞれ充実しているので、ありがたく私も仕事に集中できる環境です。
家に帰れば子供にイライラしたりしますしね。でも妻は怒っているかもしれませんね(笑)。医師のテックニックは、家庭では使わない方がいいですよ(笑)。
柏:先生が怒る姿を見たことがないので信じられません(笑)。私は結婚1年目ですが、夫にグチをこぼしたり猫を可愛がったりするのが心落ち着くひとときです。
その切り替えが大切ということですね。
総合診療医というプライドを胸に、人の生きる現場を楽しむ
吉富:最後に、これからの後輩に伝えたいのは、「自分が総合診療医だということにプライドをもって、プロフェッショナリズムをもって取り組んで欲しい」ということです。
総合診療医だからできる仕事、診られる現場だということを意識して、専攻医の立場から患者さんや地域、病院の運営に対してもどんどん取り組んでいってほしい。柏先生にも、慣れてきたら病院内でもリーダーシップをとって体制づくりをお任せできればいいなと思います。
柏:…がんばります(笑)。私からは、長州総合診療プログラムを取ればサポート環境は整っているので、勉強を一人でできる人以外は「取っておいたほうかいい!」につきます。
吉富:田舎での生活も、楽しいことがわかりますしね。
柏:そういえば、「豊田町のホタル祭り」に先日初めて行ったんです!驚きました。ものすごくたくさん人が来るんですね。他地区他県の観光客もとても多くて、出店などもたくさんでわいわい賑わってて…豊田町なめたらいけない、と思いました!(笑)。
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